課題研究成果報告

連番
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代表研究者氏名
平山 匡彦
研究代表者所属機関名・役職
一般社団法人 長崎県薬剤師会・理事
課題研究班メンバー (代表者:○) ※所属は申請時点
○平山 匡彦1)、田中 秀和1)、鈴木 慎太郎1)、井上 広平2)、吉牟田 恭史3)、宮崎 長一郎4)、澤田 康文5)、三木 晶子5)、佐藤 宏樹5)、堀 里子6)
1)社団法人 長崎県薬剤師会 離島対策委員会、2)(株)ニック調剤薬局、3)あい調剤薬局、4)社団法人 長崎県薬剤師会、5)東京大学大学院薬学系研究科、6)東京大学大学院情報学環
課題研究名
離島における医薬品の適正使用の実態と情報提供に関する研究
設置期間
平成24年4月1日~平成26年3月31日
課題研究の背景及び目的

1.課題研究の成果
【目的】
長崎県五島市をモデル地域として、薬局・薬店がなく薬剤師も存在しない二次離島(大離島の周囲に点在する小離島)において、薬剤師が定期的に直接島を訪問し、一般用及び医療用医薬品の情報提供を継続実施することで、二次離島・僻地地域の住民のニーズに即した医薬品の適正使用のための、最適な一般用医薬品の供給方法・管理体制および情報提供のあり方について調査研究し、提案することを目的とする。
【方法】
平成 24 年 6 月~平成 25 年 11 月の期間、長崎県五島市の二次離島の 12 か所の地域で「お薬説明会・相談会」を開催し、説明会前後で、薬剤師の認識度や医薬品の説明について、更に薬剤師に要望する点などのアンケート調査を実施した。
【結果】
説明会以前は、薬剤師という職種を認識できない居住者が 29.7% であったが、説明会終了後はその認識の程度は上昇した。 また「医薬品の説明は誰から聞くのが分かりやすいか」という質問に対して、説明会以前は半数以上が「医師」と回答していたが、説明会終了後には「薬剤師」とするものが多くなった。
【考察】
本研究の結果から、今後も、二次離島居住者に対する「お薬説明会・相談会」を継続して実施することにより薬剤師に対する意識を変化させて薬剤師と離島住民との信頼関係を構築できること、さらに、構築された信頼関係は、医薬品に関して「薬剤師」に相談することが有効であり、医薬品を適正に使用するためには「薬剤師」という職種が必要であることを認識させうることが示唆された。二次離島居住者に「かかりつけ薬局・薬剤師」を持ってもらうことで、かかりつけ薬局に保管する「薬歴」と二次離島居住者が保有する「お薬手帳」に基づく情報交換を行い、医薬品や健康に関する情報を共有することが、「かかりつけ薬局・薬剤師」を活用した離島・僻地地域居住者への医薬品適正使用につながると考える。
2.研究発表
[学会発表]
1. 平山 匡彦、田中 秀和、鈴木 慎太郎、井上 広平、永富 亜紀、作元 誠司、北原 敏弘、宮崎 長一郎、吉谷 清光、佐藤 宏樹、堀 里子、三木 晶子、澤田 康文. 離島における医薬品の適正使用の実態と情報提供に関する研究.(口頭(課題研究進捗報告)) 第 16 回 日本医薬品情報学会総会・学術大会、2013 年 8 月 11 日、名城大学八事キャンパス
2. 平山 匡彦、鈴木 慎太郎、井上 広平、作元 誠司、立石 忠裕、北原 敏弘、宮崎 長一郎、佐藤 宏樹、堀 里子、三木 晶子、澤田 康文. 離島における医薬品の適正使用の実態と情報提供に関する研究.(口頭(課題研究進捗報告)) 第 17 回 日本医薬品情報学会総会・学術大会、2014 年 7 月 13 日、かごしま県民交流センター
[雑誌論文]
1. 平山 匡彦、鈴木 慎太郎、井上 広平、作元 誠司、井手 陽一、北原 敏弘、中野 正治、宮崎 長一郎、嵩下 賢、出口 法隆、佐藤 宏樹、三木 晶子、澤田 康文. 長崎県二次離島における医薬品適正使用の実態と情報提供に関する研究. 医薬品情報学. 18(2): 87-94, 2016.
資料