課題研究成果報告

連番
13
代表研究者氏名
真野 泰成
研究代表者所属機関名・役職
東京理科大学薬学部
課題研究班メンバー (代表者:○) ※所属は申請時点
課題研究名
アスピリンの抗血小板作用に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬の影響に関する研究:レセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究
設置期間
平成 29 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
課題研究の背景及び目的

1.課題研究の成果

【目的】低用量アスピリンは心筋梗塞や脳梗塞等の予防目的で使用されるが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)との相互作用に関する情報は少ないのが現状である。我々はin vitro実験等によりNSAIDsとの同時併用によりAspの抗血小板作用が減弱する可能性について報告しているが、本邦において本相互作用による心血管疾患(CVD)の発生について検討した大規模な臨床報告はない。そこで大規模レセプトデータベースを用いて、CVDの発生をアウトカムとした後向きコホート研究を行い、AspにNSAIDsを併用することによるCVDの発生リスクへの影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】日本医療データセンターが保有するレセプトデータを用いて、2005年1月から2017年6月にCVDの2次予防を目的としてAsp服用を開始した40-74歳の患者を抽出した。経口NSAIDsの処方がAsp処方期間内にあった者をNSAIDs併用群、なかった者をAsp単独群とした。CVD発生リスクはCox比例ハザードモデルにて患者背景因子を調整し、調整ハザード比および95%信頼区間(CI)を算出し比較した。
【結果】Asp単独群、NSAIDs併用群は共に2,039名であった。NSAIDs併用群のうち、経口NSAIDsが処方された患者数の内訳はロキソプロフェン1,777名(87.2%)が最も多かった。CVD発生はAsp単独群で6.93件/100人年、NSAIDs併用群で8.05件/100人年であった。CVD発生リスクについて、NSAIDs併用群はAsp単独群と比較して有意に増加した(調整ハザード比:1.30,95%CI:1.07-1.58;p=0.007)。
【考察】AspにNSAIDsを併用することでCVDの発生リスクが増加することが認められたため、Asp服用患者にNSAIDsを併用する場合、併用の意義を十分に考慮する必要がある。

2.研究発表

【学会発表】
星子 舞, 河野 洋平, 赤木 祐貴, 鈴木 立紀, 青山 隆夫, 真野 泰成.アスピリンの抗血小板作用に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬の影響に関する研究(口頭).第21回日本医薬品情報学会総会・学術大会,2018年6月.

資料