課題研究成果報告

連番
14
代表研究者氏名
猪川 和朗
研究代表者所属機関名・役職
広島大学大学院臨床薬物治療学
課題研究班メンバー (代表者:○) ※所属は申請時点
課題研究名
医療用添付文書記載要領および薬物相互作用ガイドライン等の改訂をふまえた新しい添付文書情報に関する調査分析
設置期間
平成 29 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
課題研究の背景及び目的

1.課題研究の成果

【目的】医療用医薬品添付文書の記載要領が改定され(2019年4月より順次適用)、薬物相互作用ガイドライン(2017年9月案)も公表された。両者の整合を図った新しい添付文書が求められるものの、移行・作成に際しては不明な点があるため調査・分析した。
【方法】添付文書改定版への移行作業を調査した上で、不足する記載内容を分析し、根拠データの有無に基づく対応を検討した。添付文書を作成する上での問題点や、薬剤師をはじめ医療関係者が添付文書を活用する上での注意点について考察した。
【結果】現行(2013年7月)のインタビューフォーム(IF)記載項目は、新・添付文書記載項目を網羅していた。具体例では、いずれもCYP3A4で代謝されるアトルバスタチン(リピトール)錠よりもエホニジピン(ランデル)錠において、旧・添付文書とIFに記載のない部分が多かった。無記載項目に対しては、根拠データの有無に基づく次の対応フローチャートを作成した:既存資料等保有データが利用可能か→文献等公開資料の収集・採用が可能か→医療情報データベース等を用いた解析予測評価が可能か→臨床試験の実施、新規データの収集が可能か→項目番号を省略するか。
【考察】形式的改定点とりわけ「9.特定の背景を有する患者に関する注意」は旧・記載項目の入れ替えで対応可能であった。しかし実質的内容面では、現行IFが新・記載項目を網羅していても“該当資料なし”の場合があり、エホニジピンのように欧米で販売されず日本のみで開発・販売される医薬品ではデータが不足する傾向が示された。製造販売業者は労力・コストを考盧し、従来からの文献評価、バーチャルな計算予測、リアルな試験観察のバランスある対処が問われる。「10.相互作用」と「16.7薬物相互作用」については、「薬物相互作用ガイドライン(案)」付録図に従うことで、より効率的となる。一方、医療関係者は項目番号が欠けていないかに注意する必要がある。

2.研究発表

【学会発表】
猪川 和朗, 齋藤 充生.医療用記載要領と薬物相互作用ガイドラインの改訂をふまえた新・添付文書の適正情報(口頭).第21回日本医薬品情報学会総会・学術大会.2018年6月

資料