課題研究成果報告

連番
18
代表研究者氏名
野口 義紘
研究代表者所属機関名・役職
岐阜薬科大学 実践薬学大講座 病院薬学研究室
課題研究班メンバー (代表者:○) ※所属は申請時点
課題研究名
医療ビッグデータを用いた生体リズムと薬剤性有害事象との関連性についての研究
設置期間
2018年4月1日~2019年3月31日
課題研究の背景及び目的

1.課題研究の成果

【目的】近年、臨床現場において医薬品を使用した治療を進めていくうえで、患者の生体リズムに合わせた投与設計が必要とされている。特に日本は、超高齢化社会に突入し、慢性疾患に罹患している患者は多いことが推測され、1年を通した生体リズム「概年リズム」に併せた医薬品の適正な使用方法の確立が重要である。
 そこで日本の有害事象自発報告データベース(JADER)を用いて、個体内変動要因の代表例である生体リズムの一つである季節変動のような「概年リズム」と薬剤性有害事象との関連性を明らかにする手法の構築を検討した。
【方法】JADERに含まれる有害事象の報告数やその報告数から算出したシグナルスコアの時系列データを解析対象とした。これらの時系列データに含まれる「長期変動」「季節変動」「不規則変動」の3つの変動要因から、「季節変動」や「長期変動」を抽出した。
ただし、本研究で検証対象とした薬剤性有害事象は、PT-INRの変動に季節変動性がみられるという知見から、ワーファリンによる出血に関する有害事象とした。
【結果】2004年~2014年に報告されたワーファリンによる出血に関する有害事象のうち投与終了日もしくは有害事象発現日のデータが含まれた症例は、945件であった。これらを月ごとに時系列順にしたもの(rawデータ)から、「季節変動」や「長期変動」を抽出したところ、ワーファリンによる「出血」は、4月, 8月, 12月に多く報告されることが明らかになった。
【考察】本研究では、有害事象発現と「概年リズム」に関連性について明らかにする手法の構築を行い、ワーファリンによる出血に関する有害事象の季節変動について調査した。我々の構築した手法では、一定の季節変動を明らかにすることができたものの、投与終了日もしくは有害事象発現日のデータの欠損も多いことから、さらなる検証の必要性も考えられた。

2.研究発表
資料