課題研究成果報告

連番
22
代表研究者氏名
板垣 文雄
研究代表者所属機関名・役職
帝京大学薬学部 教授
課題研究班メンバー (代表者:○) ※所属は申請時点
課題研究名
分子標的治療薬に関する副作用情報の可視化とデータベースの構築
設置期間
2021年4月1日〜2022年3月31日
課題研究の背景及び目的
【課題研究の背景(必要性)】
 悪性腫瘍に対する分子標的治療薬は年々増加しており,それに伴って副作用情報は複雑化している。分子標的治療薬の副作用として,高血圧,皮膚障害,手足症候群等が報告されており,副作用予防対策や発現時の対応が,薬物治療の継続のための重要な課題となっている。医薬品の副作用情報は,インタビューフォームに数値データや表形式で公開されている。単独の副作用項目を参照する場合, 「発現頻度」と「重症の割合」を定量的・理論的に把握することが可能である。しかし,記載されているすべての副作用項目を参照した場合, 「発現頻度」と「重症の割合」のいずれも高い副作用項目であるか,一方のみ高い副作用項目であるか,あるいはいずれも低い項目であるかを表形式のデータから短時間で把握することは困難である。また,他の医薬品との比較も難しい。
 医薬品分野ではないが,経済産業省では,製品事故のリスク評価にリスクマップによる分析を用いている。これは「危害の程度」と「発生頻度」を数値化し, 2 次元のマトリックスの領域に表示することによりリスクの見える化した手法である。本研究では,この方法を参考に分子標的治療薬の副作用の副作用情報の可視化を行う。
【課題研究の目的(期待される成果)】
 本研究では, 1 )医療従事者が利活用しやすいように,分子標的治療薬の副作用情報を直観的・俯諏的に把握できるよう可視化を行うこと, 2) 可視化された情報をもとに,特定の副作用の項目について薬剤間で横断的な分析を行うこと,を目的とする。
 本研究班ではリスクマップの手法を参考に副作用の可視化されたデータベースの構築を行う。すなわち本邦で承認されている分子標的治療薬(2020 年現在で81 品目)の臨床試験を対象に,インタビューフォーム,審査報告書を情報源として,副作用発現に関する情報(頻度およびグレード3 以上の割合)を収集する。その後,収集したデータに基づき,横軸に「発現頻度」,縦軸に「重症の割合」をプロットした2 次元散布図を作成し,副作用情報の可視化を図る。また,探索的な検討として,薬剤間で横断的な分析やマトリックスによる副作用の分布に関する検討を行う。ホームページを作成し,副作用発現リスクを可視化したプロット図を順次公開することで,医療従事者が副作用のリスク
レベルを直観的・俯廠的に把握しやすい情報を提供できるのではないかと考える。
【キーワード】
分子標的治療薬、副作用、2次元散布図、可視化
1.課題研究の成果

【目的】悪性腫瘍の治療に用いられる分子標的治療薬は年々増加しており,それに伴って副作用情報は複雑化している。本研究では,医療従事者が利活用しやすいように,分子標的治療薬の副作用情報を直観的・俯瞰的に把握できるよう可視化を行うこと,また可視化された情報をもとに代表的な副作用項目について薬剤間で横断的な比較を行うことを目的とした。
【方法】本邦で承認されている分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬を対象として,インタビューフォーム/申請資料概要を情報源として副作用情報を収集した。各薬剤における副作用項目を横軸「発現頻度」,縦軸「グレード3以上の割合」として2次元散布図上にプロットした。また,全てのデータを統合し,3×3マトリックスによる副作用項目の分布に関する検討を行った。さらに,代表的な副作用項目について薬剤間の横断的な比較を行った。
【成果】46有効成分における65臨床試験データを収集し,個々の臨床試験データについて副作用情報を視覚化した2次元散布図を作成した。全てのデータを統合した結果,最もリスクの高い「発現頻度≧30%かつグレード3以上の割合≧0.30」のセルに34項目(0.5%)の副作用項目が分布していた。また,基本語が肺臓炎,間質性肺疾患,手掌・足底発赤知覚不全症候群,発疹,高血圧,下痢,便秘の各項目に関して,各薬剤の副作用発現情報をプロットした2次元散布図を作成することで薬剤間の相対なリスクを比較することが可能となった。可視化した副作用情報を掲載するホームページ「薬剤師のための抗悪性腫瘍薬のインフォメーションカウンター」(https://pharm-chemo.info)を制作した。
【考察とまとめ】可視化された副作用情報は,抗悪性腫瘍薬の副作用情報を把握する上で利便性が高いと考える。今後,コンテンツ閲覧者からの評価を集積し,さらなる改良を進める予定である。

2.研究発表
資料